不正防止につながる税務コンプライアンスとは?強化するメリットや実施する際のポイントをご紹介

税務コンプライアンス

近年、不正によって事業活動に悪影響を受ける企業が増えています。最悪の場合、株主やステークホルダーの心象を下げることによって、事業の継続が難しくなる可能性もあるでしょう。

そのため、税務コンプライアンスを強化する企業が増加傾向です。しかし、具体的にどのような取り組みを行うべきかがわからないケースもあり得るでしょう。

ここでは、不正防止につながる税務コンプライアンスの概要や強化するメリット、実施時のポイントなどをご紹介します。

不正防止に不可欠な税務コンプライアンス

企業内の不正防止を実現するためには、税務コンプライアンスの整備が必要です。ここでは、税務コンプライアンスの概要や注目される背景、コーポレートガバナンスについて解説します。

税務コンプライアンスとは

税務コンプライアンスとは、企業や個人の納税者が税法に準拠して、自ら税金を適切に申告し、納付する取り組みです。近年、企業におけるコンプライアンスの重要性が増しており、特に大企業の税務コンプライアンス向上が注目されています。

大企業が自ら税務に関するコーポレートガバナンスを充実させていくことが重要かつ効果的であるため、国税庁が主体となりその充実を促進している状況です。企業が自発的かつ適正な納税をするため、トップマネジメント自ら積極的に関与して内部統制を整えていくことが求められます。

また、自主的に充実した内部統制を整える企業については、税務調査の間隔を延長するというメリットも得られるでしょう。

企業に税務コンプライアンスが求められるようになった背景

企業に税務コンプライアンスが求められるようになった背景は、国税庁の変化によって「税務コンプライアンス」と「税務に関するコーポレートガバナンス」が求められるようになったことがおもな理由です。国税庁は、大企業の税務コーポレートガバナンスの体制を評価し、優良とされた企業のうち過去の悪質な所得隠しの有無等を考慮して選出された十数社を、税務リスクの高い取引の自主開示等を条件に、税務調査の省略を認める方針であることが報道されています。

このような取組みが増えていることにより、企業内部において二度と不祥事や不正が起こらないような制度・仕組みづくりが求められるようになり、企業コンプライアンスに対する意識が高まったと考えられるでしょう。

税務に必要なコーポレートガバナンスとは

コーポレートガバナンスとは、企業が社会的責任を果たすために、経営者が企業の利益と株主の利益を調整し、企業の透明性や責任を高めるための仕組みです。税務に関するコーポレートガバナンスは、企業が税務法令を遵守し、適正な税金を納付することで、社会的責任を果たすことが主たる目的だといえます。

具体的には、企業が税務に関するリスク管理体制を整備し、税務コンプライアンスの維持・向上に効果的な取組を実施することが必要です。

参考:国税庁/税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組について(調査課所管法人の皆様へ)

税務コンプライアンスを強化するメリット

税務コンプライアンスを強化することによって、企業は次のようなメリットを得られます。

・税務リスクの低減
・税務調査の頻度の低減
・事務負担の軽減
・企業イメージの向上

税務コンプライアンスは、企業が法令を遵守し、税務上のリスクを回避するために行う取り組みです。そのため、税務コンプライアンスを強化することにより、企業は税務上のリスクを低減し、税務調査の頻度を低く抑える効果が期待できます。

また、税務コンプライアンスを強化することによって事務負担が軽減されるため、企業は業務に集中できるようになる点がメリットです。さらに、税務コンプライアンスが徹底されている企業は、企業イメージの向上する効果も期待できます。

税務コンプライアンスへの取り組みを怠るリスク

企業が税務コンプライアンスへの取り組みを怠ることによって発生しうるリスクには、以下のようなものが挙げられます。

・税務署からの調査や税務上のペナルティ
・税務上の不利益な取引条件
・税務上の信用低下
・社会的信用低下
・法的リスクの発生頻度向上 など

税務署は、企業の税務コンプライアンスに関するリスクを評価する際、対象会社の税務ガバナンスや税務戦略の実態に着目し評価を行います。そのため企業における透明性の向上や、税務に関する社会的責任など、企業の方針やスタンスをより明確に発信するよう、投資家やメディア、さらに一般市民からの要求が高まっている状況です。

税務コンプライアンスを強化し不正防止につなげるためのポイントは3つ

企業における不正防止を実現するためには、以下3つの税務コンプライアンス強化施策を実施することが大切です。ここでは、それぞれの内容を確認しておきましょう。

ポイント1.コーポレートガバナンスの充実に向けた取り組み

企業が税務に関するコーポレートガバナンスを充実させることにより、税務コンプライアンスを強化し不正防止につなげられます。具体的には経営陣が税務リスクを認識し、適切な対策を講じることが必要です。

また外部監査を実施することで、企業の税務コンプライアンス体制が適切かどうかを確認しやすくなります。さらに、外部監査人からのアドバイスを受けることにより、税務コンプライアンス体制の改善点を把握することも可能です。

ポイント2.申告書の自主点検と税務上の自主監査のための確認表の活用

内部統制を整備・強化することによって、不正行為を未然に防止することが可能です。具体的には、業務プロセスの明確化や、業務の分担・監視体制の整備などが挙げられます。

申告書の自主点検と、税務上における自主監査のための確認表を活用することが重要です。企業はこちらを活用して自己点検を行うことで、税務上の問題点を把握しやすくなります。

また問題点があった場合も、早期に改善へとつなげられるでしょう。

参考:法人会/自主点検チェックシートを活用しよう(後援:国税庁)

ポイント3.税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取り組み

社員に対して、税務コンプライアンスの重要性や、不正行為が企業に及ぼす影響などを教育することも重要な取り組みだといえます。社員が税務コンプライアンスに関する疑問や不安を持った場合には、相談できる窓口を設けることも大切です。

また、再発防止に向けた取り組みも欠かせません。具体的には再発防止促進プログラムを策定し、従業員教育や監査体制の整備などを行うことが必要です。

税務リスクの軽減には税理士のサポートも不可欠

企業や個人納税者が税法に準拠して、自ら税金を適切に申告し、納付する取り組みが税務コンプライアンスです。税務コンプライアンスを強化することによって、以下のようなメリットが得られます。

・税務リスクの低減
・税務調査の頻度の低減
・事務負担の軽減
・企業イメージの向上

一方、税務コンプライアンスの強化を怠った企業は、多くのリスクに見舞われるでしょう。そのため、早期にコーポレートガバナンスを整備するといった対応が必要です。なお、税務コンプライアンスを整備・強化する際には、税理士への相談がおすすめです。

税務コンプライアンスの強化に際し、税理士が対応できることについては、以下のようなことが考えられます。

・税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取り組み
・申告書の自主点検と、税務上における自主監査を行うための確認表の活用

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この記事の著者

ラチーコ

大手会計ソフトメーカーの記事執筆、原稿ディレクション業務を担当しています。

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