中小企業や小規模事業者の経営者は、経営力向上計画を作成し認定されることによって、いくつかのメリットが得られます。そのため可能であれば、速やかに作成するのがおすすめです。
しかし、承認を得るためにどのようなポイントを押さえるべきかわからないケースや、日々の業務が多忙で、申請書類などの作成時間を捻出できないケースもあるでしょう。
そのような場合は、経営力向上計画の作成を税理士に依頼する選択肢もあります。
ここでは、経営力向上計画の作成を税理士に依頼するメリットや、認定を受けるメリット、申請方法などについてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
経営力向上計画では、どのような内容についての検討が必要なのでしょう。ここでは、経営力向上計画の概要と申請できる企業の条件についてご紹介します。
経営力向上計画とは、中小企業や小規模事業者などが、経営力を向上させるために取り組む施策を記載した事業計画のことです。例えば、人材育成やコスト管理におけるマネジメントをはじめ、設備投資などの経営力向上施策が一般的でしょう。
経営力向上計画を申請して、事業所の所管大臣に認定されることにより「中小企業経営強化税制(即時償却等)」「各種金融支援」といったメリットが得られます。
ただし、経営力向上計画は事業分野別指針、もしくは基本方針のどちらかに基づいて策定しなくてはいけません。また、経営力向上設備等を取得する計画を策定する際には、工業会などによる証明書や経済産業局の確認書を準備する必要があります。
経理力向上計画の申請できる企業の条件は、以下の通りです。
・中小企業者等であること ・経営力向上計画を策定していること ・財務・会計・税務等に関する専門的な支援を必要としていること |
また、中小企業者等の条件は以下のように規定されています。
・会社・個人事業主・医療法人等 └資本金は10億円以下であること、または従業員数が2,000人以下であること ・社会福祉法人・特定非営利活動法人 └従業員数が2,000人以下であること |
参考:国税庁/No.5434 中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)
経営力向上計画の認定を受けた企業が得られるメリットは、以下の通りです。
・法人税・所得税の税額控除 ・固定資産税の軽減措置 ・各種金融支援 ・公的機関や取引先の信用向上 |
どのようなメリットが得られるのか、具体的な内容について確認しておきましょう。
経営力向上計画の認定を受けた企業が、計画に基づいて設備投資を行った場合、法人税の税額控除等の税制措置を受けられます。この場合、翌年度から3年間、その設備にかかる固定資産税が半額になる点がメリットです。
経営力向上計画に認定された企業は、固定資産税の軽減措置が受けられます。具体的には、市区町村に認定された場合、固定資産税の軽減措置として軽減率が1/2からゼロになる先端設備等導入計画が挙げられます。
さらに経営力向上計画と同様、労働生産性をアップする計画(労働生産性向上計画)を立てて市区町村に認定されることにより、固定資産税の軽減措置が得られる点もメリットです。
中小企業等経営強化法に基づく「先端設備等導入計画」の認定を受けた中小企業者が、新たに行った労働生産性・投資利益率向上に資する設備投資にかかる償却資産の固定資産税は「当初3年間1/2」へ軽減されます。
「経営力向上計画」の認定を受けることで、税制措置や各種金融支援が受けられるようになることもメリットです。例えば法人税について即時償却、または取得価額の10% (7%)の税額控除(中小企業経営強化税制)の適用や、各種金融支援が受けられます。
各種金融支援のおもな内容は以下の通りです。
・中小企業等経営強化税制(即時償却等)による税制面の支援 ・各種金融機関からの融資利子補給 ・資金繰り支援 ・財務アドバイス ・人材育成支援 |
経営力向上計画の認定を受けた企業は、公的機関や取引先からの信用向上が期待できるでしょう。また認定を受けることによって、金融機関からの融資や補助金の利用がしやすくなるなど、経営においてさまざまなメリットが得られます。
ただし、公的機関や取引先からの信用向上については、認定を受けたこと自体が信用向上につながるわけではありません。認定を受けた企業が、経営力向上計画に基づいた取り組みを実施し、その成果をアピールすることで信用向上につなげられます。
税理士に経営力向上計画の作成を依頼するメリットは、専門的な知識や経験を持ったプロが作成してくれるため、より効果的な計画を作成できることです。特に税理士は、財務諸表の作成や財務分析、資金調達のアドバイスなどを行ってくれます。
また、顧問契約している税理士であれば、会社の経営状況や数字を細かく把握しているため、スムーズに経営力向上計画の申請に必要な書類を作成しやすいでしょう。
ただし経営計画や補助金の申請は、単発での依頼を請け負っている事務所は少ないのが現状です。月々の顧問として依頼している業務の中で、経営計画・補助金の助言を行なってくれる事務所もあるため、対応の可否については事務所毎に確認しておくのが賢明だといえます。
経営力向上計画を申請するためには、いくつかの手順を踏む必要があります。ここでは、経営力向上計画の認定を受ける大まかな流れについて確認しておきましょう。
経営力向上計画を作成する前に、受ける支援措置を選択することが必要です。支援措置には税制措置と金融支援、法的支援の3つがあります。
税制措置には、中小企業経営強化税制や即時償却などが一般的です。金融支援は、中小企業・小規模事業者融資制度や中小企業育成資金などが挙げられます。また法的支援には、中小企業等経営強化法に基づく支援措置や特別清算制度などがあります。
経営力向上計画は、事業分野別指針か基本方針のいずれかに基づいて策定する必要があります。また、経営力向上計画申請プラットフォームで申請書を作成するためには、GビズIDプライムの登録が必要です。
なお、経営力向上計画の作成方法については、以下中小企業庁のホームページに詳しく記載されているので確認しておきましょう。GビズIDの登録も、中小企業庁のホームページから行います。
経営力向上計画の申請方法については、原則として「経営力向上計画申請プラットフォーム」から電子申請を行う必要があります。申請書類は、同プラットフォームからダウンロードすることが可能です。
ただし計画の認定を受け、変更申請を行う場合には、旧様式(令和3年8月1日以前の様式)による申請もできます。
申請書の提出後、中小企業庁から認定通知書が送付されることにより、経営力向上計画が認定されたことになります。認定通知書を受け取った後、経営力向上計画に記載した取り組みを実行します。
経営力向上計画の認定を受けた企業は、以下のようなメリットが得られます。
・中小企業等経営強化税制(即時償却等)による税制面の支援
・各種金融機関からの融資利子補給
・資金繰り支援
・財務アドバイス
・人材育成支援
ただし、申請を行うためにはいくつかの手順を踏む必要があります。また、手続きを行うためには多くの工数が必要になるため、税理士などの専門家にサポートしてもらうのが得策でしょう。
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