給与計算を税理士事務所に依頼することは可能?社労士との違いは?

給与計算を税理士事務所に依頼することは可能?社労士との違いは?

給与計算は企業にとって非常に重要な業務の1つです。万が一ミスが発生した場合には、従業員エンゲージメントの低下にもつながるリスクがあります。そのため、専門的な知識やスキルを持った方が業務を実施しなくてはいけません。

しかしリソースが少ない企業の場合、給与計算を安心して任せられる従業員が不在ということもありえるでしょう。そのような企業においては、社労士の在籍する税理士に給与計算業務を依頼できないかと思うケースもあるかもしれません。

ここでは給与計算の業務内容について解説しつつ、を社労士の在籍する税理士事務所に依頼するメリットや、税理士と社労士の行える業務の違いなどについて解説します。

給与計算業務とは

給与計算は、企業や組織に所属する従業員や労働者に対して支払われる給与や賃金を計算する業務のことです。

給与計算は、従業員が受け取る給与の額を正確に算出し、適切なタイミングで支給することが非常に重要だといえます。多くの法律や規制に則って行われるため、正確さと信頼性が求められる業務です。

給与計算に関わる部門としては、経理、総務、人事などが挙げられます。

経理はお金にまつわる全般の業務を行い、社員の立替精算や給与振り込みも担当するのが一般的です。総務は給与を計算する元になる勤怠管理、人事は給与の元となる基本給や報酬の金額を決める人事規定を担当することが多いでしょう。

正確で効率的な給与計算は、従業員と企業の間の信頼関係を築く上で欠かせない要素です。

そのため、多くの企業では給与計算業務を税理士や外部の給与計算サービスに委託することが一般的だといえるでしょう。

給与計算における業務の流れ

給与計算を行うためには、多くのステップを踏む必要があります。一般的な給与計算における業務の流れは、以下のとおりです。

基本情報の収集

まず、従業員の基本情報を収集することが必要です。これには氏名、社会保障番号(または個人番号)、雇用形態、職位、雇用契約などが含まれます。

勤怠管理

従業員の労働時間や、出勤状況を記録するのが勤怠管理です。従業員が実際に働いた時間や残業時間、休暇、有給休暇などが含まれます。

基本給の計算

基本給は、従業員が定期的に受け取る給与のうち、基本的な労働に対して支給される給与です。通常、時間給や月給などの形式で計算されます。

手当や賞与の計算

基本給に加えて、従業員が受け取る場合がある手当や賞与の計算も必要です。残業手当、通勤手当、家族手当、業績に応じた賞与などが該当します。

控除の計算

給与から差し引かれる控除額を計算します。所得税や健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などが含まれることは一般的です。

社会保険手続き

従業員の社会保険や労働保険に関連する手続きを行わなくてはいけません。これには新規採用や退職に伴う手続き、年末調整などが含まれます。

給与明細の発行

給与明細が準備できたら、従業員へ発行します。給与明細には基本給、手当、控除、実際に支給される金額などの詳細な記載が必要です。

給与支給

最終的な給与支給のプロセスを実施します。定期的な給与支給日に行われることが一般的です。

給与関連の記録管理

給与計算に関連するデータや記録を正確に管理し、必要に応じて保存しておきます。将来の参照や監査のために重要な取り組みです。

給与計算を行う資格の必要有無

給与計算を行うためには、一般的に特定の資格が必要とされることはありません。給与計算の業務は、会計や人事管理などの専門的な知識が必要とされる場合はありますが、それらの分野で具体的な給与計算の資格が存在するわけではないためです。

ただし給与計算を担当する人には、以下のようなスキルや知識が求められます。

・法律や労働基準法の理解:給与計算は多くの法律や規制に基づいて行われるため、関連する法律や労働基準法に対する理解が必要
・会計知識:給与計算は会計の一部でもあるため、基本的な会計知識が役立つ
・税務知識:給与計算には所得税や社会保険料などの税金が絡む場合もある。そのため、税務に関する基本的な知識が必要
・データ処理と計算スキル:給与計算には多くのデータを処理し、正確な計算を行うスキルが必要
・コンプライアンス意識:給与計算は個人のプライバシーや機密情報を扱う場合があるため、コンプライアンス意識が求められる

これらのスキルと知識は専門的な教育機関で学べますが、特定の資格を取得する必要はありません。その代わりに人事や経理の経験を積んだり、独学で必要な知識を学んだりすることで、給与計算の業務を遂行することが可能です。

なお、具体的な地域や業界の要件を理解するためには、その地域の労働法や規制を確認し、専門家や関連する組織に相談することも欠かせません。

税理士事務所に給与計算を一括で依頼するメリット

給与計算は税理士に依頼するより、社労士に依頼するのがスタンダードです。ただし、多くの税理士事務所には社労士が在籍しているケースもあるため、そちらへ業務を依頼することも可能です。

税理士に依頼する場合は、税理士事務所内に社労士が在籍しており、税務の他に給与計算や労務も一括で依頼できるメリットがあります。

税理士事務所に社労士が在籍する場合、給与計算を一括で依頼するメリットは以下の3点です。

・正確な給与計算を実現できる
・節税・経営アドバイスが得られることもある
・コア業務に集中できるようになる

ここでは、それぞれの内容について確認しておきましょう。

メリット1.正確な給与計算を実現できる

給与計算には社会保険料、税金、手当、ボーナスなど多くの要素が含まれるため、複雑な場合もあります。税理士はこれらの計算を正確に代行し、従業員に対して正確な給与明細を実施することが可能です。

税理士は最新の税法や労働法に精通しており、給与計算に関する法令を遵守するための知識と経験を持っている専門職です。給与計算には正確さが求められるため、税理士に依頼することで法的な観点からも安心して任せられるでしょう。

メリット2.節税・経営アドバイスが得られることもある

税理士は給与計算において、節税のための適切なアドバイスを行えます。例えば、社会保険料の最適な支払い方法や給与の組成による税負担の最適化など、節税策を提案してくれることもあるでしょう。

また顧問契約をしている税理士であれば、自社の経営状況を把握しているため、経営アドバイスを行ってくれることもあります。

メリット3.コア業務に集中できるようになる

給与計算業務を税理士に依頼することで、企業や経営者は給与計算にかかる負担を軽減し、他の業務に時間とエネルギーを集中できるようになることも大きなメリットです。

税理士に給与計算を任せることで、労働や人事管理に費やす時間を削減し、企業の成長や発展に注力することができるでしょう。

給与計算業務における税理士と社労士の違い

税理士はおもに税金関連の業務に特化しており、所得税や住民税などの計算や節税アドバイスに強みを持ちます。一方、社労士は労務関連と社会保険関連の業務に特化しており、労働法の遵守や社会保険料の計算・手続きに精通している点が特徴です。

両者の専門性を活用することで、給与計算や人事労務における幅広い問題に対応できるようになります。給与計算業務を依頼した際、税理士と社労士にお願いできる業務の違いは、以下のとおりです。

税理士の独占業務

税理士のみが独占業務として実施できるものがあります。給与計算における税理士の独占業務は、以下のとおりです。

・税務顧問業務
・確定申告の代理申請

税理士は法人や個人事業主などに対して、税務に関するアドバイスやコンサルティングを行うことが独占業務とされています。給与計算においては所得税や住民税、源泉徴収税などの税金に関する計算や節税アドバイスが含まれます。

また法人や個人の確定申告を代理して申請することも、税理士の独占業務です。年末調整や給与計算によって算出された所得税などの税金に基づいて、個人の確定申告手続きを行えます。

社労士の独占業務

休養計算における社労士の独占業務は、以下のとおりです。

・労務関連業務
・社会保険関連業務
・助成金・補助金の申請

社労士は労働法に特化した専門家であり、給与計算における労働法の適用や法的な側面に精通している点が特徴です。労働契約の作成や労働法に基づくアドバイス、労働基準法や労働保険の遵守などをサポートしてもらえます。

また社労士は、社会保険料の計算や社会保険の手続きを行うことが可能です。給与計算においては、健康保険や厚生年金、雇用保険などの社会保険料に関する業務に携われます。

さらに給与計算に関連して企業が受け取れる助成金や、補助金の申請手続きをサポートできる点も特徴です。

給与計算の業務を依頼する場合、税理士と社労士のどちらに依頼するかを決めるポイントは、会社の規模や従業員数によって異なります。ただし従業員数が少ない場合は、税理士に依頼することが多いです。一方、従業員数が多い企業の場合、社労士に依頼することも視野に入れるべきでしょう。

給与計算を専門家に依頼し生産性向上を実現しよう

税理士事務所に社労士が在籍する場合、給与計算を一括で依頼することによって、以下のようなメリットが得られます。

・正確な給与計算を実現できる
・節税・経営アドバイスが得られることがある
・コア業務に集中できるようになる

給与計算は社労士に依頼することが一般的です。しかし、税理士の得意とする業務には違いがあるため、事業内容や規模などに応じて社労士が在籍する税理士事務所に給与計算の業務を依頼することを検討してみてもよいでしょう。

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この記事の著者

ラチーコ

大手会計ソフトメーカーの記事執筆、原稿ディレクション業務を担当しています。

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