決算申告を税理士に依頼する方法は2つ!それぞれのメリット・デメリット、費用相場などをご紹介

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決算申告は、すべての企業にとって重要な業務です。適切に実施できない場合、多くのリスクが発生するため、税理士に依頼するのが一般的といえます。

決算申告のみを税理士に依頼することもできますが、顧問契約をしたうえで依頼する方法もあり、どちらにするべきか迷うこともあるでしょう。ここでは、決算申告を税理士に依頼する2つの方法について、メリット・デメリット、費用相場などをご紹介します。

決算申告とは

そもそも決算申告とは、どのような手続きなのでしょうか。ここでは、決算申告の概要と手順、税理士の役割、適切に実施しなかった場合のリスクなどについて解説します。

決算申告の概要と手順

決算申告とは、法人や事業を行う個人が年に1回行う税務手続きのことです。具体的には、1期分の収益と費用を計算して経営や財務状態を明らかにし、税金を納めるための一連の作業をさします。

決算申告の具体的な手順は、以下のとおりです。

・領収書、請求書などの整理:1期分の領収書や請求書、銀行の利用明細などの書類を整理する

・当期分の取引を記帳する:整理した書類をもとに、1期分の取引を入力

・試算表の作成:仕訳帳の内容を転記した総勘定元帳をもとに、決算書を作成する前の集計表である試算表を作成

・決算整理:決算申告をする期に該当しない取引や未処理のものがないか確認し、決算で修正、追加する決算整理を実施

決算整理で行う処理には、現金の過不足の処理や貸倒引当金の計上などがある

・決算書の作成:決算整理後は、決算申告をする期の損益や財政状況をまとめた決算書を作成

決算書は通称であり、会社法では「計算書類」という名称を使い、作成しなければならない書類が決められている(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書など)

・申告書の作成、納税:法人は、決算書をもとに各種税金の計算を行い、決算日の翌日から2か月以内に申告書を作成して申告・納税を実施

個人事業主も同様に、決算整理後の決算内容をもとに所得税の確定申告書を作成して申告・納税を行う

決算申告における税理士の役割

税理士は、企業や個人に対して決算申告に関するアドバイスや支援を行う役割を担います。法的要件を遵守しながら、適切な手続きを進めるための専門知識を持っている存在です。

税理士は、決算書の作成や申告書の提出、税金の計算などをサポートし、クライアントの利益を最大化するためにサポートします。決算申告は、会社の健全な経営と税金の適正な納付に欠かせない重要なプロセスです。税理士の協力を得ることにより、スムーズに手続きを進められるようになるでしょう。

決算申告を適切にできない場合のリスク

決算申告を適切に行わなかった場合、さまざまなリスクが発生します。以下で、そのリスクを詳しく説明します。

経営判断を誤るリスク

不正確な財務報告は、経営者や投資家が正確な情報に基づいて判断することを妨げる可能性があります。誤った情報に基づいて運営戦略や投資判断を行うと、企業の成長や収益に悪影響を及ぼす可能性が高いです。

評判への悪影響

無申告や誤った申告は、企業の信用を損なう要因にもなりえます。信頼性のある経営者としての評価が低下する可能性が高いでしょう。また、信頼性の低い財務報告は、投資家や顧客に不信感を抱かせ、企業の信用を損なうことがあるため注意しなくてはいけません。

経済的損失

誤った財務報告は、誤った経済的判断を導く可能性もあります。たとえば、不正確な収益予測に基づいて投資を行ったり、誤った予算を立てたりすることにより、企業は損失を被る場合があるでしょう。

罰金や法的措置

誤った申告や無申告は、税務署の目に留まる可能性があります。調査が入った場合、追徴課税(未納分の追加徴収)が発生する可能性は高いです。

追徴課税は企業の財務に大きな影響を及ぼすことがあるでしょう。特に、無申告は法的な問題を引き起こすリスクがあります。また税務法に違反することによって、罰金やその他の法的制裁を受ける可能性もあるため注意が必要です。

倒産のリスク

重大な誤りがある場合、企業は経済的に困難な状況に陥り、最悪の場合は倒産する可能性もあります。正確な決算申告は、企業の健全な運営に不可欠です。税理士に依頼することで、これらのリスクを最小限に抑え、法的要件を遵守するのが得策だといえるでしょう。

決算申告だけを税理士に依頼したときの費用相場

会社の売上規模や業務内容によって異なりますが、決算申告だけを税理士に依頼した場合の費用相場は10~30万円程度だといわれています。会社で作成した1年分の帳簿や会計ソフトのデータを税理士に渡して、決算申告書を作成してもらうことが一般的です。

したがって、社内に経理担当者が不在の場合は、こちらの方法で決算申告を行うのは困難でしょう。

決算申告だけを税理士に依頼するメリット

決算申告だけを税理士に依頼できれば、いくつかのメリットが得られます。ここでは、具体的なメリットを確認しておきましょう。

コストの削減

税理士に決算申告のみを頼む場合、定期的な顧問契約費用が発生しないため、報酬を抑えられる点がメリットです。特に、小規模な会社で売上が不安定な場合、月々の顧問料を支払うことは負担となりえます。したがって、決算申告だけを頼むことで、ランニングコストの節約につなげることも可能です。

定期的な連絡が不要

決算申告のみを依頼する場合、税理士との頻繁なコミュニケーションは必要ありません。そのため、時間が限られている場合や、税務相談を頻繁に行う必要がない場合に、こちらの方法は適しています。ただし、決算処理中に帳簿や仕訳について疑問が生じた場合、連絡が必要になることに留意しなくてはいけません。

決算書の信頼性が向上

決算申告を税理士に依頼すると、申請書類に税理士の署名と印鑑が押されます。これにより、税理士が決算処理を行ったことが証明されるため、自社で作成した決算書よりも、決算書の信頼性が高まる点はメリットです。ただし、税務調査の対象となる可能性はゼロではありません。

決算申告だけを税理士に依頼するデメリット

決算申告だけを税理士に依頼することによって、デメリットもあるため確認が必要です。ここでは、3つのデメリットをご紹介します。

効果的な節税対策が困難

決算申告のみを税理士に委託する場合、決算処理はその年の終わりに行われるため、利益が出ているにも関わらず、節税対策を充分に実施する余地が限られる点はデメリットです。さらに、税務調査が実施された場合、顧問契約がないと対応してもらうのは難しいでしょう。

融資や経営に関するアドバイスを得るのは困難

決算申告のみを税理士に依頼する場合、税理士との定期的なコミュニケーションが不十分になりがちで、融資や経営に関するアドバイスを受けにくい点もデメリットです。一方、顧問契約を結んでいる場合は、経営相談や資金調達についてのアドバイスを受ける機会が増えます。

日々の帳簿作業や記録の手間は依然必要

決算申告のみを委託しても、日常の会計業務や記帳作業は自社で遂行する必要があります。会計担当者が不在の場合、この手間を削減することは困難です。その結果、甚大な工数が発生する可能性もある点を覚えておきましょう。

税理士と顧問契約し決算申告を依頼する費用相場

税理士と顧問契約した場合の報酬相場は、法人の場合が月額3~5万円程度だといわれています。決算報酬の相場は年額で10~30万円程度です。ただし、会社の規模や売上によって、費用相場は異なりますので注意しましょう。

税理士報酬の詳細は、以下記事の内容もご参照ください。

税理士報酬の相場はいくら?

税理士と顧問契約し決算申告を依頼するメリット

税理士と顧問契約を締結していれば、決算申告に対応してもらうことが可能です。ここでは、税理士と顧問契約し決算申告を依頼するメリットを3つご紹介します。

効果的な節税対策や経営相談を行うことが可能

顧問契約を結ぶことによって、税理士が適切な節税戦略を提供し、経営相談もできるようになります。経営課題を克服し、事業を適切に運用できるようになるでしょう。これは経営者にとって非常に大きなメリットです。

融資取得のサポート

顧問税理士は融資取得に有利な決算書の条件を理解し、経営者と協力して決算書の改善策を検討します。その結果、金融機関などから、融資を得やすくなるでしょう。融資を検討している場合、このサポートは極めて重要です。

税務調査への対応

顧問契約を締結している場合、税務調査が実施されたとき、税理士に対応を依頼できます。これにより、調査に関連する負担を軽減することが可能です。また、税務署の担当者から指摘を受けた場合も、税理士が対応してくれるため安心でしょう。

どちらの方法を選ぶべきか?

決算申告だけを税理士に依頼する場合と顧問契約する場合のどちらがよいのかについては、依頼する企業側の事情によって異なります。ここでは、どちらの方法を選ぶべきなのか、その基準を確認しておきましょう。

決算申告だけを税理士に依頼したほうがよい場合

決算申告のみを税理士に依頼するのが適している企業の特徴は、おもに以下の2点です。

・売上規模が限定的

・申告書作成以外は社内で遂行可能

事業が小規模、かつ売上が不安定な場合、顧問契約を結ぶことで経営に負担がかかることはあります。小規模事業では決算申告の複雑さもそれほど高くないため、決算申告だけを税理士に依頼しても、大きな問題は少ないケースがほとんどでしょう。

したがって経理の専門スタッフがいる場合は、決算申告のみの委託を考慮できます。近年は、会計ソフトの普及により、簿記知識があまりない方でも簡単に帳簿などの経理業務を実行できるようになりました。そのため、通常の経理業務が社内で実施できる場合、税理士には決算申告のみを依頼することも検討できるでしょう。

ただし、決算申告だけを税理士に頼む場合は、税理士が企業の取引を完全に把握できないというデメリットが存在するため注意しなくてはいけません。さらに、税務調査が実施された場合、顧問契約がないと対応が難しい可能性もあるため、慎重な検討が必要です。

税理士と顧問契約し決算申告を依頼したほうがよい場合

税理士と顧問契約を結び、決算申告を依頼することが適している企業の特徴は、以下のとおりです。

・売上規模が拡大傾向

・経理を担当できる人員がいない

売上規模が拡大している企業は、節税対策が重要です。顧問税理士は依頼主の業績を常に把握しており、最新の税制に精通しているため、状況に応じた適切な税金(節税)対策を講じてくれます。適切な節税対策の提案や資金繰りの改善などにより、年間の顧問料を上回るメリットが期待できるでしょう。

また、経理を担当できる人員がいない企業は、税理士に顧問契約を結んで決算申告を依頼するのがおすすめです。税理士は経理業務の専門家であり、日々の経理業務や決算申告を適切に実施してくれます。

具体的な状況に応じて適切な方法を選択することが重要

決算申告は税理士と顧問契約を締結しなくても、その手続きのみを依頼することが可能です。ただし企業ごとの事情により、最適な方法は異なる場合があります。したがって、具体的な状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。また、税理士との顧問契約は、企業の成長とともにその価値が増すことが多いでしょう。具体的な状況に応じて、税理士との顧問契約を検討するのがおすすめです。

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この記事の著者

ラチーコ

大手会計ソフトメーカーの記事執筆、原稿ディレクション業務を担当しています。

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